鼻マスクとは
気管切開をせずに、マスク装着で人工呼吸器を使用するためのインターフェースです。
非侵襲的陽圧換気療法(non-invasive positive pressure ventilation;NPPV)といい、気管切開による合併症などのリスクが少なく、痰の吸引もほとんど必要ありません。
簡単に着脱ができること、首の可動域を制限しないことなどのメリットがあります。
鼻マスクには、様々な種類があり、それぞれに一長一短がありますが、機能性やサイズを正確に選択し、自分の生活や状態に合わせて選ぶことが大切です。
以下が主な種類と特徴です。
<鼻マスク>
○メリット
・口は覆わないので装着したまま、飲食、会話ができる。
○デメリット
・口呼吸をしている場合や、睡眠中はリーク(空気の漏れ)が多くなることがある。
・鼻に強い圧がかかるため、潰瘍ができることがある。
*口が閉じられない場合は、チンストラップ(顎ベルト)などを用いると良い。
<鼻口マスク(鼻口フェイスマスク・フルフェイスマスク)>
○メリット
・鼻マスクに比べてリークが少ない。
○デメリット
・口を覆うため、飲食、会話が困難になる。
・鼻に強い圧がかかるため、潰瘍ができることがある。
*鼻閉のある場合や、口からのリークが多い場合に適している。
★鼻マスク、鼻口マスクともに、
鼻の穴に差し込むピロー(プラグ)タイプもある。
<トータルフェイスマスク>
○メリット
・リークが少ない。
○デメリット
・このマスクを使用している間は飲食、会話が困難になる。
・閉所恐怖症がある場合、強い閉塞感を感じることがある。
*皮膚トラブルがある場合に適している。
<マウスピースタイプ>
○メリット
・口にくわえるだけなので、顔への圧迫や締め付けがなく、視界を遮ることもない。
・自分のタイミングで吸気の回数、量を調整できる。
○デメリット
・使用しながらの飲食ができない。
*マウスピースタイプは、医師は進めてこないので、積極的に自分から情報を求めていきましょう。
食事をする時、活動する時、眠る時と、その時々の用途にあわせて使い分けることも、NPPVで快適に過ごすためには必要でしょう。
★マスク装着時の注意点
・マスクのベルトは締めすぎていないか?上下左右バランスよく締めているか?偏っていないか?
→ベルトは下部から固定して,次に上部を固定します。固定後,ベルトと顔の間に指1本がスッと入ることを確認しましょう。
・眼のほうへのリークはないか?
→眼への刺激や乾燥の原因になるため,皮膚保護材などでリークを抑えましょう。
の注意点を確認しながら正しい種類とサイズを選択しますが、自分に合うものを見つけるのはなかなか難しいものです。
北海道の八雲病院の筋ジストロフィー病棟に、「マスクソムリエ」と呼ばれている、マスク選びの達人の看護士さんがいらっしゃいます。100種類以上のマスクに精通されているので、相談してみるのも良いかもしれませんね。
http://www.yakumo-hosp.jp/
海外から個人輸入で購入できるサイトもあります。
http://www.cpap.com *医師の診断書が必要な場合あり。